社長コラム 導火線
       

※本コラムは、ご支援いただいている「まいぷれ」掲載店様やお取引先様に、毎月一回「まいぷれ」の活動をお知らせする会報誌「まいぷれ通信」に掲載しています。

[2013年2月5日]

私は、モノを捨てるのが苦手です。一度読んだ本、着る機会がなくなった服、聞くこともないであろうCD等。
「将来何か役立つのではないか?」「持っていればまた使うことがあるのではないか?」「将来時間ができたらゆっくり楽しみたいと思っていた……」と、自分で自分に言い訳をつけては捨てるのを先送りし、時間がないままでひたすらモノは増えていき、後ろめたい気持ちになる始末。一方で、欲しいモノは増えていくばかり。とある先輩経営者から「捨てるのが下手な経営者は商売下手だ」と言われました。ありとあらゆる事に手を出し、どれも散漫になり、結果すべてが中途半端になる。それでいて撤退することはせず、新事業や新商品ばかりが量産されていく状態は、想像されるだけでうまくいきそうにありません。

「得るは捨つるにあり」という言葉があります。
何かを捨てたり、やめたりしなければ得られないよ、新しいモノを手に入れたり、新しいコトを始めたりしてもなにも得られないよ、という教訓です。まったくおっしゃるとおりです。自分の私物もさることながら、弊社においても「得よう」とばかりしてなかっただろうか?
新しい事業を始めたり、新しい商品を考えたりするのは楽しく、挑戦していきたいと思っておりますが、サービスの終了や撤退に関してどれくらいきちんと取り組んできたのであろうか?
新しいものを得ようとばかりしても、注意力が散漫になるし、時間も人手も、そして資金も分散してしまいます。

年末ご挨拶にいった某飲食店様は、経営状況が厳しくなった数年前に2店目を出店することで難局を乗り越えようと計画していましたが、「1店で苦しいのに2店にして良くなるはずがない」と一転思考を変えて出店計画を中止、それだけでなくメニューの絞り込みをしました。「こってり」と「しょうゆ味」の2種類あったメニューを、人気の高い「こってり」だけにしたのです。「しょうゆ味」も人気がありましたので大丈夫かなと心配いたしましたが、結果としては大成功。確かに一部のお客様は離れたものの、鍋のスペースが一つに減り、「こってり」の店として認知があがり、できた余裕で付加価値を高め、利益だけでなく来店数や売上げの増加にまでつながりました。

なかなか決断力のいることですが、「得るは捨つるにあり」、私も新しいことだけに注力することなく、事業を展開していきたいと思っております。

(株)フューチャーリンクネットワーク
代表取締役 石井 丈晴